「英文を読むと、つい後ろから訳してしまう」「長文を読むのに時間がかかる」。そんな悩みを持つ人に、よく紹介されるのがスラッシュリーディングです。
英文を意味のかたまりで区切り、前から順に理解していく読み方で、TOEICの公式教材でも速読のトレーニング法として紹介されています。
一方で、「意味ない」「弊害がある」という声を聞き、試すか迷っている人もいるでしょう。
この記事では、スラッシュリーディングのやり方と区切り方を例文つきで解説します。「意味ない」と言われる理由と対策、教材の選び方もまとめました。
- スラッシュリーディングの意味と、どこで区切るかの目安
- スラッシュリーディングのやり方5ステップと練習問題
- 「意味ない」と言われる理由と、聞く・話す力につなげる方法
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スラッシュリーディングとは?英語を前から理解する読み方
スラッシュリーディングは、英文を英語の語順のまま理解するための読み方です。まずは意味と、返り読みとの違いを確認しましょう。
- スラッシュリーディングの意味と例文
- スラッシュリーディングと返り読みの違い
- スラッシュリーディングで意味のかたまりごとに区切る理由
スラッシュリーディングの意味と例文
スラッシュリーディングとは、英文を意味のかたまり(チャンク)ごとにスラッシュ「/」で区切り、前から順に意味を取っていく読み方です。
東洋大学の湯舟英一教授は、制作に協力したTOEIC公式教材の執筆箇所(研究成果報告書に抜粋を掲載)で、次のように説明しています。
英文を意味の塊(チャンク)ごとに区切り目(スラッシュ)を入れたり、区切りを意識して理解するトレーニングです。
引用:研究成果|東洋大学(湯舟英一)
| 英文 | 前から読んだ意味 |
|---|---|
| I went to the library / | 私は図書館に行った/ |
| to borrow some books / | 本を何冊か借りるために/ |
| after school. | 放課後に |
後ろから訳す「放課後に本を借りるために図書館へ行った」のような並べ替えはしません。
スラッシュリーディングと返り読みの違い
返り読みとは、英文の後ろから前へ戻りながら、日本語の語順に並べ替えて訳す読み方です。
| 項目 | 返り読み | スラッシュリーディング |
|---|---|---|
| 読む順番 | 文末から戻りながら読む | 文頭から前へ読み進める |
| 理解の仕方 | 日本語の語順に並べ替えて訳す | かたまりごとに英語の語順のまま理解する |
スラッシュリーディングで意味のかたまりごとに区切る理由
1語ずつではなく数語のかたまりで区切る理由について、湯舟教授は同じ執筆箇所で次のように説明しています。
英文は数語のチャンクをイメージ(頭の中で画像化)することで、ワーキングメモリの容量を経済的に使えて内容を記憶しやすくなります。
引用:研究成果|東洋大学(湯舟英一)
ワーキングメモリとは、情報を一時的に覚えながら処理する働きのことです。
スラッシュリーディングで期待できる3つの効果
前から理解する考え方は、読む場面だけでなく、聞く・話す場面とも共通します。期待できる効果を本記事で3つに整理しました。
- 英文を後戻りせずに読む練習になる
- 聞いた順に理解する練習になる
- 英語を前から組み立てて話す練習になる
英文を後戻りせずに読む練習になる
区切ったかたまりを前から順に処理するため、返り読みをせずに一文を読み切る練習になります。
チャンク単位のトレーニングについて、湯舟教授の報告書では次の結果が示されています。
| 項目 | トレーニング前 | 3か月後 |
|---|---|---|
| TOEIC L&Rの平均スコア | 399.74点 | 466.12点 |
| 平均読書速度(1分間に読める語数) | 72.95wpm | 93.55wpm |
対象は東洋大学総合情報学部の選択必須の英語授業の履修者(人数の記載なし)で、3か月間毎週クラスでトレーニングを受けた結果です。どちらも統計的に有意な向上とされています。
ただし、TOEIC公式eラーニング教材でリスニング・音読・速読を組み合わせた訓練の結果で、スラッシュリーディング単独の効果ではありません。
聞いた順に理解する練習になる
音声は前から流れ、読むときのように戻れません。前から意味を取る練習は、聞いた順に理解する考え方と共通しています。

英語を前から組み立てて話す練習になる
話すときも、英語はかたまりを前から積み重ねて作ります(例:I’d like to / book a table / for two.)。
ただし、読むだけで話せるようになるわけではありません。声に出して話す練習と組み合わせましょう。
スラッシュリーディングはどこで区切る?区切り方の目安6つ
スラッシュを入れる位置に、決まった正解はありません。湯舟教授は、長い主語の後ろやカンマの後ろ、前置詞句・副詞句・to不定詞・接続詞・関係詞・that節などがチャンクの単位になると説明しています。
これをもとに、区切る位置の目安を本記事で6つに整理しました。意味のまとまりや読みやすさに応じて、位置は変えてかまいません。
- カンマ・コロンなどの句読点で区切る
- 前置詞の前で区切る
- 接続詞の前で区切る
- 関係詞の前で区切る
- 不定詞・分詞の前で区切る
- 長い主語のあとで区切る
- 句動詞は途中で区切らない
- 区切りの長さは慣れに合わせて伸ばす
カンマ・コロンなどの句読点で区切る
カンマ(,)やコロン(:)は、もっとも迷いにくい区切りの目安です。
例:After lunch, / we went for a walk.(昼食のあと/私たちは散歩に出かけた)
前置詞の前で区切る
in、at、forなどの前置詞は、後ろの名詞と組んで「場所」「時」などを表します。前置詞の前が区切りの目安ですが、句動詞は例外です(7つ目で解説)。
例:She works / at a hospital / in Tokyo.(彼女は働いている/病院で/東京の)


接続詞の前で区切る
because、when、ifなどの接続詞は、新しい文のまとまりの始まりです。
例:I stayed home / because it was raining.(私は家にいた/雨が降っていたので)
関係詞の前で区切る
who、which、thatなどの関係詞の前で区切り、前の名詞が「どんなものか」を後から付け足すイメージで読みましょう。
例:This is the book / that changed my life.(これがその本だ/私の人生を変えた)
不定詞・分詞の前で区切る
to+動詞の原形(不定詞)や、-ing形・過去分詞(分詞)が説明を加える場合も、その前で区切ります。
例:I came here / to see you.(私はここに来た/あなたに会うために)
長い主語のあとで区切る
主語に説明が付いて長いときは、動詞の前が区切りの目安です。
例:The number of people living in this city / has increased.(この市に住む人の数は/増えている)
句動詞は途中で区切らない
look for(〜を探す)のように、動詞と前置詞・副詞がセットで1つの意味になる句動詞は、途中で区切りません。
例:I’m looking for / my key.(私は探している/私の鍵を)
※I’m looking / for my key.とは区切らない
区切りの長さは慣れに合わせて伸ばす
最初は細かめでかまいませんが、1〜2語ごとでは全体の意味がつかみにくくなります。慣れたら、大きなかたまりで区切りましょう。
例:I went / to the library / after school.
→I went to the library / after school.
スラッシュリーディングのやり方5ステップと練習問題
ステップ1〜5を順に進め、最後に練習問題で確かめましょう。ゴールは、スラッシュを書かなくても前から読めるようになることです。
- ステップ1:英文を一度通して読む
- ステップ2:意味のかたまりごとに「/」を入れる
- ステップ3:区切りごとに前から意味を取る
- ステップ4:区切りで間を取りながら音読する
- ステップ5:スラッシュなしの英文で読み直す
- スラッシュリーディングの練習問題
ステップ1:英文を一度通して読む
まずは区切らずに全体を読み、内容をざっくりつかみます。知らない単語は、ここで調べておきましょう。
ステップ2:意味のかたまりごとに「/」を入れる
区切り方の目安を参考に、スラッシュを書き込みます。正しい位置を探しすぎず、迷ったら細かめに区切ってかまいません。
ステップ3:区切りごとに前から意味を取る
かたまりごとに、前から順に意味を確認します。きれいな和訳は不要で、「図書館に行った/本を借りに/放課後」のようなメモ程度で十分です。
「He wants us to change」まで読んだら「何を?」と、次の情報を予測しながら進みましょう。
ステップ4:区切りで間を取りながら音読する
スラッシュの位置で軽く間を取り、声に出して読みます。音声つきの教材なら、先に音声を聞いてからまねしましょう。
湯舟教授の報告書でも、見本音声をチャンクごとにまねてリピートする練習が紹介されています。

ステップ5:スラッシュなしの英文で読み直す
スラッシュを書き込んでいない英文を読み、頭の中だけで区切りを意識して前から意味が取れるか確かめます。うまく読めなければ、ステップ2〜4を繰り返しましょう。
スラッシュリーディングの練習問題
次の英文に、意味のかたまりごとにスラッシュを入れてみましょう(英文は本記事で作成)。
| 番号 | 英文 |
|---|---|
| 1 | When I was a student, I studied English every morning before school. |
| 2 | The book that my teacher recommended was easy to read. |
| 番号 | 区切りの例 | 前から読んだ意味 |
|---|---|---|
| 1 | When I was a student, / I studied English / every morning / before school. | 私が学生だったとき/英語を勉強した/毎朝/登校前に |
| 2 | The book / that my teacher recommended / was easy to read. | その本は/先生がすすめてくれた/読みやすかった |
解答は一例です。1のevery morning(毎朝)のように、時や頻度を表す語句の前で区切ることもあります。もう少し大きく区切ってもかまいません。
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スラッシュリーディングが「意味ない」「弊害がある」と言われる理由と対策
「意味ない」「弊害がある」という意見について、よく挙がる理由を本記事で4つに整理し、対策と向き不向きをまとめました。
- スラッシュを書くこと自体が目的になる
- 区切ったあとに和訳して並べ替えている
- スラッシュがないと読めなくなる
- 複雑な構文の精読には別の読み方も必要になる
- スラッシュリーディングをやるべき人・後回しでよい人
スラッシュを書くこと自体が目的になる
毎回すべての英文に「/」を書き込むと時間がかかり、内容が頭に入らないこともあります。
スラッシュは前から読む感覚をつかむ補助線です。区切ったらすぐに意味を取り、音読まで進めましょう。
区切ったあとに和訳して並べ替えている
区切ったかたまりをきれいに訳し、日本語の語順へ並べ替えると、結局は返り読みと同じです。
湯舟教授の報告書も、チャンク単位で、返り読みせず、和訳せず、意味をすぐにイメージすることを挙げています。訳はメモ程度にとどめましょう。
スラッシュがないと読めなくなる
スラッシュを書いた英文でしか読めないと、書き込みができない場面で困ります。たとえばTOEIC L&Rでは、問題用紙への書き込みが禁止されており、IIBCは線を引くこともこれに含まれると案内しています。
TOEIC L&Rの本番ではスラッシュを書けません。練習の段階から少しずつスラッシュを減らし、頭の中で区切る練習をしておきましょう。
出典:【TOEIC L&R】問題用紙への書き込みはできますか?|IIBC
複雑な構文の精読には別の読み方も必要になる
倒置や挿入が多い英文や、大学入試の和訳問題などでは、文の構造を細かく分析する精読も必要です。スラッシュリーディングは語順のまま大意をつかむ読み方なので、目的に応じて使い分けましょう。
スラッシュリーディングをやるべき人・後回しでよい人
向き不向きは、今の課題によって変わります。
| 分類 | 今の状況 | おすすめの進め方 |
|---|---|---|
| やるべき人 | 返り読みの癖があり、長文で時間が足りない | 取り入れて、最後はスラッシュなしで読む |
| やるべき人 | 単語は聞き取れるのに理解が追いつかない | 音声つきの英文で読む・聞くを練習する |
| 後回しでよい人 | 中学レベルの文法・単語に不安がある | 先に文法と単語を固める |
| 後回しでよい人 | すでに前から自然に理解できている | 書き込みはせず、音読や多読へ進む |

スラッシュリーディングの教材選びと、聞く・話す力につなげるコツ
教材の選び方と、読めるようになった英語を聞く・話す力へつなげる方法を紹介します。
- スラッシュリーディングの教材の選び方
- 音読・シャドーイングと組み合わせる
- かたまり単位で話す練習を取り入れる
- 話す力までつなげたいならLinkUpもおすすめ
スラッシュリーディングの教材の選び方
教材は、①知らない単語が少ない ②読み上げ音声がある ③区切りごとの訳がある ④1回で読み切れる長さ、の4点を目安に選びましょう。例として次の2冊があります。
| 書名(発行元) | 公式ページでの説明 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 『改訂版 究極の英語リーディング Vol. 1』(アルク) | 区切る・音声を聞く・時間を計るの3つの方法で、語順通りに読む練習をする | 英語の基礎から学び直したい人 |
| 『公式TOEIC Listening & Reading Part 7 速読演習』(IIBC) | 「スラッシュ読み」などの速読トレーニング法を紹介。読み上げ音声つき | TOEIC L&Rの受験を控えている人 |
出典:改訂版 究極の英語リーディング Vol. 1|アルク出版サイト
出典:公式TOEIC Listening & Reading Part 7 速読演習|IIBC

音読・シャドーイングと組み合わせる
スラッシュリーディングで使った英文は、そのまま音読やシャドーイングに使えます。シャドーイングとは、音声を聞きながら少し遅れて同じように声に出す練習です。
同じ英文で、読む・聞く・話すをつなげてみましょう。
かたまり単位で話す練習を取り入れる
日本語を見てすぐに英語にする瞬間英作文では、読むときに意識したかたまり単位で口に出してみましょう。
例:駅の近くのカフェで友達に会いました
→ I met my friend / at a café / near the station.
練習の組み合わせ方に迷うならLinkUpもおすすめ
「区切り方はわかったのに、英文を読む速さが変わらない」「読める英文でも、音声になると理解が追いつかない」。こうした場合は、区切る練習に加えて、音読や聞く練習を課題に合わせて組み合わせましょう。
ただ、自分にどの練習が合うかを一人で見極めるのは難しいと感じる人もいるでしょう。英語コーチングのLinkUpでは、次のようなサポートを案内しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| マンツーマンレッスン | 週1回1時間 |
| 質問・相談 | コーチには365日いつでも質問や相談ができる |
| 定着度チェック | 1週間の学習内容の定着度をチェック |
| 話す練習 | 学習内容をもとにした瞬間英作文・英会話の練習 |
学習の進め方は、無料個別コーチング体験会でも紹介しています。
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スラッシュリーディングのまとめ
- スラッシュリーディングは、英文を意味のかたまりで区切り、英語の語順のまま前から理解する読み方
- 区切る位置は、句読点や前置詞・接続詞・関係詞・不定詞などの前、長い主語のあとが目安。意味のまとまりに応じて変えてよく、句動詞は途中で区切らない
- 「意味ない」と言われないためには、書くことや和訳を目的にせず、最後はスラッシュなしで読めるようにする
まずは手元の英文1つで、区切る→音読→スラッシュなしで読み直す、の流れを試してみましょう。
練習の組み合わせ方に迷ったら、LinkUpの無料個別コーチング体験会で学習の進め方を確認してみてください。



